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杉原 弘造
JAEA-Review 2009-004, p.6 - 13, 2009/05
独立行政法人日本原子力研究開発機構は、原子力発電環境整備機構による処分事業と国による安全規制の両面を支える技術基盤を継続的に強化していくため、他の研究開発機関と連携して基盤的な研究開発を進めている。東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち地層科学研究を進めている。「地層処分技術に関する研究開発」における地層科学研究の役割と地層科学研究の一環として進めている超深地層研究所計画の今後の予定について、「平成20年度東濃地科学センター地層科学研究情報・意見交換会」において紹介する。
松井 裕哉; 竹内 真司; 弥富 洋介; 杉原 弘造
no journal, ,
本研究は、地下坑道施工技術高度化開発の一部として、湧水抑制の観点からみた既存のグラウト技術の有効性の確認及びそれに必要な技術の整備を目的として実施した。実施場所は、超深地層研究所200m予備ステージから掘削された避難所である。避難所掘削前に実施したプレグラウトを対象として、各種調査と、その結果に基づくモデル化・解析を実施した。その結果、既存のグラウト技術は湧水抑制の観点から有効であること,グラウトによって岩盤の透水性が最大2オーダー程度低減した可能性があることなどが明らかになった。
花室 孝広; 山田 国見; 梅田 浩司
no journal, ,
地質環境の長期安定性に関する研究では、地層処分の人工バリアの性能の維持において重要となる100C程度の比較的低温の温度履歴の解析を行うための手法として、(U-Th)/He年代測定技術開発を実施している。本手法は、放射壊変系列に属する各壊変核種とそれによって生じたHeを用いた放射年代測定法であり、地質環境の長期安定性を評価するうえで重要となる断層の活動時期の推定や、削剥量に基づく内陸部での隆起速度の推定などに応用可能な技術でもある。我が国にはこれまで分析可能な施設がなかったことから、2006年度から原子力機構においてシステムの導入及び実際の測定に向けた研究を開始し、我が国における初の(U-Th)/He年代測定技術の実用化を目指している。現在までに、ジルコンを対象とした年代測定について実用化の目処を得た。年代既知試料の分析を実施しているほか、地質試料について分析を行っているところである。また、アパタイトについても今年度中には分析方法を確立する予定である。
松井 裕哉; 見掛 信一郎; 浅井 秀明; 杉原 弘造
no journal, ,
超深地層研究所計画における工学技術に関する研究は、研究課題として、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」,「研究坑道の建設技術の開発」,「研究坑道の施工対策技術の開発」,「安全性を確保する技術の開発」の4項目を設定している。平成19年度は、研究を合理的に進める観点から、平成17年度から開始した第2段階の工学技術の成果と課題の整理を実施した。また、個別研究として、花崗岩部の掘削時に得られた計測データなどに基づく設計の妥当性の検討,地山補強対策工の注入効果の検討,坑道の安定性に影響を与える可能性が考えられる高差圧の影響評価に関する検討と対策工の整理やプロジェクト全体を対象としたリスク事象の抽出及び各リスク事象に対するリスク評価方法について概略的な検討を行った。その結果、工学技術に関する第2段階の研究の方向性が示されるとともに、深度200mまでの範囲では、第1段階で実施した施設設計が結晶質岩部に対してもおおむね妥当であることがわかった。さらに、高差圧の影響評価の考え方,坑道の長期的な維持補修に関する研究計画やプロジェクト全体を対象としたリスクマネジメント手法を提示した。
野原 壯
no journal, ,
「地質環境の長期安定性に関する研究」では、地上からの調査の段階において天然現象の存在や履歴とそれらの影響を把握するための調査・評価技術について、事例研究による例示を目標としている。平成19年度までに実施した年代測定技術開発の現状と、それらを活用した体系的な調査評価技術に関する事例研究の成果を報告する。
長谷川 健; 國友 孝洋; 中島 崇裕
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所用地(以下、研究所用地)の立坑掘削による立坑周辺の地質環境の変化をモニタリングできるかどうかを確認するために、研究所用地のすぐ東側にある瑞浪市民公園内の地下壕内に地震計32台からなる地震計アレイと磁力計1台、電場観測用の電極を2対設置した。立坑コンクリートの健全性をモニタリング可能かどうかを確認するために、換気立坑の既設地震計で振動の連続観測を行った。東濃鉱山アクロス送信所からのアクロス信号を検出することができたが、S/N比が十分でないことが明らかになったので、瑞浪超深地層研究所の立坑と仕様がよく似ている、東濃鉱山第2立坑を用いてさらに検討を進めることにした。東濃地震科学研究所が研究所用地の近傍で行っている地震計のデータを開示していただき、アクロス信号の検出を試みた。その結果、立坑の冠水と排水、それに続く立坑の掘削を反映していると考えられる信号を明瞭に捉えることができた。
田力 正好
no journal, ,
隆起・侵食/気候・海水準変動に伴う地形変化及びそれによる地下水の流動特性や水質の変化等といった情報は、処分施設等の設計や変動シナリオによる安全評価に反映されると考えられる。そのため、原子力機構では、古気候の復元にかかわる調査技術の整備(気候・海水準変動に関する調査技術全体計画(A)-(3)-3-2)や将来の地形変化を予測するためのシミュレーション技術の開発(三次元地形変化モデルの開発全体計画(A)-(3)-3-3)を進めている。これらのうち、気候・海水準変動に関する調査技術として、プラントオパールを用いた古気候復元を試みた。さらに、利根川支流の鏑川を事例として、火山灰分析とプラントオパール分析を組合せることにより段丘(堆積物)の年代と堆積環境を推定し、内陸部の隆起速度の推定法の信頼性向上を試みた。また、三次元地形変化モデルの開発に関しては、東濃地域の大湫盆地において現地取得データを用いた地形変化シミュレーションを試み、地形変化シミュレーションに用いるパラメータの取得方法を例示した。
二ノ宮 淳; 根木 健之; 梅田 浩司
no journal, ,
将来に渡って安定な地質環境を選定する際には、地表における第四紀火山の存在の確認のみならず、地下の潜在的なマグマや人工バリアに影響を及ぼすような熱水等の存在の有無をあらかじめ確認することによって、その信頼性がさらに高まるものと考えられる。そのため、原子力機構では、(1)地震波トモグラフィー,(2)地磁気・地電流法(MT法),(3)温泉ガスの希ガス同位体測定等から得られた地球物理学及び地球化学データを用いた総合的な解析手法の整備を目指している(地下深部のマグマ・高温流体等の調査技術全体計画(A)-(3)-2-1)。このうち、MT法では、鳴子火山,飯豊・朝日山地等の事例研究を通じて、内陸部おける二次元MT法技術の適用性(分解能,適用条件等)について検討を行い、一般的に考えられるマグマ溜りの大きさ(数km),深度(10km以深)の低比抵抗体を検出できることを確認した。また、市街地での人工ノイズを従来の1/3まで低減できる新たなスタッキング技術を開発した(特許出願中)。一方、沿岸域などでは、比抵抗の低い海水の存在によって、解析結果に影響を及ぼす可能性が指摘されている。このため、今回、沿岸域(能登半島)を事例として、二次元解析に及ぼす海水の影響をフォワードモデルによって検討した結果、海岸線からおおむね10km以内では、解析結果に著しい影響を及ぼすことがわかった。さらに、既存の解析コードによる計算した三次元比抵抗構造は、地表の地質の分布や重力構造と調和的であり、当該解析手法の有効性が示唆される。
齋藤 龍郎; 鈴木 元孝; 西澤 章光*; 石丸 恒存
no journal, ,
地質環境の長期安定性に関する研究では、地震・断層活動,火山・地熱活動,隆起・侵食,気候・海水準変動などの自然現象が、将来の地質環境に与える影響の程度や範囲を調査・評価するための技術開発を目指している。安全評価において将来の地質環境の変化を考慮するためには、過去から現在までの地質環境(熱,地下水理,力学,水質等)の変動の程度と時期を精度よく把握することが不可欠である。地層処分では、10万年程度の期間の安全性を示す必要があり、そのためには数10万年程度の過去の現象の理解と、その基礎となる年代測定が重要となる。原子力機構が研究している年代測定技術には、特定の温度になったときの年代を測定するウラン・トリウム・ヘリウム法と、植物,土壌,貝,地下水等、さまざまな生物起源の有機物の微量な試料から年代を測定できる炭素14法等を用いたタンデム型質量分析計を用いた年代測定技術があるが、ここでは後者を用いた年代測定技術について紹介する。
楮原 京子; 黒澤 英樹; 石丸 恒存; 野原 壯
no journal, ,
概要調査地区の選定に際しては、既知の活断層が存在する場所は含めないこととされており、断層の影響を排除できるように活断層から適切な距離を置くこととされている。一方、活断層の数万年以上の活動において、断層は伸長・分岐を伴いながら発達してきたと考えられる。このため、将来の断層活動の影響範囲を検討するためには、現在の断層がどのような発達段階にあるのかを知ることが重要となる。このような背景から、原子力機構では、断層の性状や発達過程の理解に主眼を置き、事例研究を通じて、地形・地質,地球物理学的手法などの技術を組合せた活断層調査手法の整備を進めている。逆断層の場合、活断層の伏在や複雑な地層変形を伴う場合が多いため、その性状と発達過程を理解するためには、変動地形と地下構造の両面から取り組むことが重要と考える。特に地下の断層構造の把握は、将来、変形しうる領域を特定する際に重要な情報となる。そのため、日本の典型的な逆断層帯である横手盆地東縁断層帯を事例対象に実施し、総合的な取り組みによって、現在に至る断層の発達過程や、地形・地質と断層構造との関連を、定性的かつ定量的に評価できる可能性を得た。
黒澤 英樹; 石丸 恒存; 丹羽 正和; 島田 耕史; 楮原 京子
no journal, ,
概要調査地区の選定に際しては、既知の活断層が存在する場所は含めないこととされており、断層活動の影響を排除できるように活断層から適切な距離を置くこととなる。概要調査段階においては、周辺に分布する断層の活動性の評価とともに、断層活動の影響範囲について、断層周辺の岩盤の破断・破砕に伴う地下水移行経路の形成による水理学的な影響も考慮した検討が必要となる。このため、原子力機構では、事例研究を通じて、地球化学的調査などを活用した断層の活動性の調査技術や断層活動に伴う周辺岩盤への力学的・水理学的な影響範囲に関する調査研究を進めている(地下の活断層の調査技術,断層影響評価モデルの開発(全体計画(A)-(3)-1)。このうち、断層周辺の流体移行経路(水理学的な影響範囲)を把握するための地球化学的調査技術として、断層水素ガスを利用した断層調査手法(1)の適用性の検討を行っている。本発表では、中部地方に分布する横ずれ活断層である跡津川断層や阿寺断層を対象に事例研究を実施し、破砕帯から放出される水素ガス濃度測定により流体移行経路となりやすい構造を把握できる見通しを得たことについて紹介する。
松井 裕哉; 平野 享; 中間 茂雄; 山田 淳夫*; 瀬野 康弘*; 佐藤 稔紀*
no journal, ,
本ポスターは、超深地層研究所計画における坑道掘削時の調査研究段階(第2段階)の成果について、岩盤力学の分野においてこれまで得られたものを概略説明するものである。主としてポスターは、2006年度に実施した研究坑道のGL.-100m深度(堆積岩)における初期応力測定及び岩石の力学・物理試験の結果とそこから得られた知見を説明し、また、実施予定であるGL.-200mでの調査研究項目を示している。そのほか、岩盤力学の分野における調査研究の位置づけと処分事業とのかかわりについて補足した。
弥富 洋介; 尾方 伸久; 杉原 弘造; 保科 宏行; 瀬古 典明; 笠井 昇; 植木 悠二; 玉田 正男
no journal, ,
東濃地科学センター瑞浪超深地層研究所における研究坑道掘削工事において、掘削に伴って発生する湧水には、自然由来のふっ素(7.29.5mg/L),ほう素(0.81.5mg/L)が含まれているため、環境基準値(ふっ素0.8mg/L,ほう素1mg/L)まで除去した後、河川に放流している。そこで、湧水処理の効率化のため、放射線グラフト重合法により作製した捕集材を用いて適用の検討を行った結果、ふっ素,ほう素とも除去可能であることがわかった。捕集材の吸着性能をさらに把握するため、ほう素除去について、捕集材の耐久性,再生利用試験を行った。試験方法は、湧水を捕集材に7日間通水して、捕集材から吸着したほう素を除去したのち、再度4日間通水した。1回目の通水試験における湧水のpHが10.6、2回目の試験における湧水のpHは9.6であった。捕集材通水前と通水後の湧水中ほう素濃度を分析した結果、1回目は吸着性能が低下してしまったが、2回目は捕集材体積の約1000倍の湧水量に対して、環境基準値以下まで除去することが可能であった。これより、捕集材は再生利用が可能であるとともに、吸着性能は湧水のpHに依存することが明らかになった。
見掛 信一郎
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術基盤を整備するため、岐阜県瑞浪市にある「瑞浪超深地層研究所」において深地層の科学的研究を進めている。研究は地表からの調査研究により地下の様子を予測する段階を経て、坑道掘削を伴う研究段階に進んでいる。本報告では、瑞浪超深地層研究所の建設状況を述べる。
濱 克宏
no journal, ,
超深地層研究所計画「研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)」の研究成果について、おもに地質環境調査,モデル化に関する成果の地層処分事業などへの反映方法を提案した。
濱 克宏; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所用地周辺において、地下水中の複数の放射性元素を利用した地下水の年代測定を実施した。
水野 崇; 萩原 大樹; 齋 正貴
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所の第2段階における地下水の地球化学調査結果の現状についてまとめた。第2段階での地球化学調査では、研究坑道の掘削が地球化学環境へ与える影響を把握することが主な目的となる。この目的に対して、既存ボーリング孔における水質モニタリング,研究坑道内でのボーリング孔掘削を伴う地球化学調査及び研究坑道内での湧水の水質モニタリングを実施している。その結果、初期状態に対して、研究坑道の掘削によるものと考えられる水質分布の変化やpHの上昇が確認できた。
原 雅人; 見掛 信一郎; 池田 幸喜
no journal, ,
換気立坑の湧水対策として、深度200mから220m間のプレグラウチングを実施し、その湧水抑制効果を確認した。
大山 卓也; 竹内 竜史; 松木 浩二*; 新井 孝志*
no journal, ,
地表付近における調査や観測により、ボーリング孔で得られる情報を補完する手法の一つとして、地下空洞の掘削などによる人為的な地下水流動場の変化に伴う地表での傾斜変化を観測し、地下深部の地下水流動に影響を与える水理地質構造を逆解析により推定する手法を開発している。国の深地層の研究施設の一つである瑞浪超深地層研究所用地内に設置した傾斜計を用いて、研究坑道の掘削によって生じる地表の傾斜量を把握し、本研究で開発した解析手法により岩盤の体積変化を推定した。さらに、解析結果と瑞浪超深地層研究所用地内外のボーリング孔で実施してきた長期水圧モニタリング等で取得した水圧変化データに基づき結果を比較検討し、水理地質構造の推定に対する本手法の有効性を評価した。
毛屋 博道; 竹内 竜史; 戸谷 成寿; 佐藤 敦也; 三枝 博光; 大山 卓也; 小坂 寛
no journal, ,
超深地層研究所計画における岩盤水理に関する調査研究では、「第1段階で構築した水理モデルの妥当性の確認」と「研究坑道掘削時の周辺観測孔の水圧変動などを用いた水理地質構造モデルの更新」を目的としている。そのため、長期水圧モニタリング結果を用いた調査では、研究坑道掘削時の周辺観測孔の水圧観測結果の整理と第1段階で構築した水理地質構造モデルの妥当性検討と周辺観測孔の連続性の把握と水理地質構造の推定を行った。その結果、研究坑道掘削や研究坑道内で実施したボーリング調査に伴う水圧変化を整理することでNNW断層に関する知見を得た。また、この結果は、第一段階で得られた水理地質構造モデルによるNNW断層の水理特性の評価とおおむね一致していることを確認した。